ITキャリア ローコード・ノーコード

世界市場1870億ドル、未経験者が稼げる時代に。ノーコード開発の衝撃

「スキルがない」「ITは難しそう」
そんな思い込みを手放すと、目の前の景色が一変する。
コードを一行も書かずにアプリが作れる時代。
たった一つの選択が、これまでの働き方を塗り替える。
そう気づいた瞬間から、人生は別ルートに入る。

ノーコード開発の市場規模が意味すること

市場は静かに膨らみ続けている。
調査会社Statistaによると、ノーコード/ローコード開発プラットフォームの市場は2030年に1870億ドルに到達する見込み。2019年はわずか100億ドルだった。年間30%以上の成長速度は、すでに飽和したIT業界とは対照的。

Gartnerも同様の予測を示している。2025年には新規業務アプリケーションの70%がノーコードやローコードで開発されると報告している。かつてはIT部門だけの仕事だったアプリ開発が、今や営業や人事の机の上で行われている。

言い換えれば、「専門職だけの特権」だったソフトウェア開発が一般解放された状態。スーツを着たまま、コードを書かずにアプリが完成する世界が現実になっている。

未経験者が「稼げる」理由と、IT人材不足の関係

経済産業省は「2025年の崖」という表現でIT人材不足の危機を示した。
その内容は明快で、2025年には最大で79万人のIT人材が不足すると予測されている。問題は深刻で、ITシステムの老朽化と人材の高齢化、そして現場のデジタル対応の遅れが重なっている。

ここに、ノーコードという解が入り込む。
専門スキルを持たない社員がアプリを自作することで、**企業のデジタル課題を「自分たちで解決できる」**仕組みが生まれる。
この動きは「市民開発者(Citizen Developer)」と呼ばれ、Gartnerは「2023年にはプロの開発者の4倍の数に市民開発者が達する」と予測している。

つまり、専門職の足りなさを補う形で、未経験者が稼げる土壌が急速に広がっている。

ノーコード開発とは何か?誰が主役になれるのか?

ノーコード開発は、プログラムを書かずにアプリを作る仕組み。GoogleのAppSheet、MicrosoftのPower Apps、Bubble、Airtableなどが代表格。

使い方はスマホアプリを組み立てるような感覚。
ブロックを並べるだけで、申請フォームや在庫管理システム、営業支援ツールが作れる。ボタンや入力欄、グラフを選んで配置すれば、あとはツールが勝手に裏側を組んでくれる。

つまり、Excelを少し触ったことがあるレベルでも入門できる。
エンジニアではなく、現場で困っている人こそ主役になれる構造になっている。

たとえ話でわかるノーコードの本質

ノーコードは、料理でいえば「レトルトカレーの革命版」。
火も包丁も使わずに、レストラン並みの味が出せるセットが渡されるようなもの。
材料を並べて、電子レンジに入れて、皿に盛るだけ。それでも味がしっかりしていて見栄えも良い。しかも、時間が圧倒的に短縮される。

料理の腕前よりも、「誰に出すか」「どこで食べるか」が重要になるのと同じで、ノーコードでも問われるのは**“技術”より“使う目的”**。
作る人のセンスや実務理解が価値になる。

Google幹部の言葉が示す未来

Google Cloudの元CTOであるBrian Stevensはこう語る。
「ノーコードは次の10億人の開発者を生む装置になる」
この言葉は単なる予測ではない。事実として、Google自身がAppSheetというノーコードツールを買収し、自社のクラウド戦略の中心に据えている。

実際、同ツールを使って農業従事者が収穫記録アプリを作り、歯科医院のスタッフが患者予約管理システムを数時間で構築した例がある。
開発者を待たずに現場で「解決できる人」が増えているという意味で、この流れは止まらない。

ITの専門性が希薄になっているのではない。専門性の必要性が「使い方の賢さ」に変わったということ。

まとめ

ノーコード開発の広がりは単なる流行ではない。
世界市場が兆単位で動き、企業の人材不足が構造的に深まり、未経験者が「貴重な人材」になる余地が生まれている。

求められるのは、スキルではなく姿勢。
現場の課題に気づき、改善したいと思う力があるなら、技術がそれを支える時代が来ている。
仕事を変えるのではなく、「仕事のやり方」を変えることで、思ってもいなかった未来が開ける。
ノーコードという言葉は、新しいスタートの名前にすぎない。