名前だけ聞いたことがある。でも何をするものかはわからない。そんなモヤモヤを感じたまま、時間だけが過ぎていく。ServiceNowに対してそんな不安や距離感を抱えるあなたに、なるべく簡単に、なるべく短く、わかりやすく伝えるための記事。
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ServiceNowとは?|クラウドにある「IT部門そのもの」
ServiceNowは、クラウド上に構築されたIT運用のための統合プラットフォーム。
企業がIT部門で行う業務――機器管理、トラブル対応、申請処理、ワークフロー構築など――をひとつの仕組みの中で動かすことができる。
構成要素は大きく分けて3つある。
- データベース(CIやワークフロー情報を蓄積)
- アプリケーション群(インシデント管理、申請、構成管理など)
- 自動化エンジン(業務を人の手を介さずに処理)
ServiceNowの元CEO Frank Slootmanは、ServiceNowを「企業が動くためのオペレーティングシステム」と表現した。
OSがパソコンの動きを制御するように、ServiceNowは会社のIT業務を背後で動かす役割を担う。
世界中の企業が共通で抱える“ITのめんどくささ”を吸収
世界中の企業が共通で行っているIT業務を徹底的に調査し、それらを「標準化された仕組み」としてテンプレート化したのがServiceNowの原型。
- 問題が起きたら記録する(インシデント管理)
- 社員からの依頼に対応する(サービスリクエスト)
- ソフトウェアを追加するときに申請する(変更管理)
会社ごとに細かい違いはあるが、やっていることの根本は似ている。
その共通点を抽出し、あらかじめ形にして提供している。
CMDBが中心にある|ITの“地図”を作る機能
ServiceNowの中核にあるのがCMDB(構成管理データベース)。
これは、企業内にある全てのIT資産とその関係性を表にしたもの。
どのパソコンにどのソフトが入っているか。どのサーバーがどの業務に使われているか。どのネットワーク機器がどこにつながっているか。
こうした“つながり”を整理して可視化する。
CMDBがない状態は、地図のない街を歩くようなもの。
CMDBがあれば、何か問題が起きたときに「どこで何がどうなっているのか」をすぐに把握できる。
Microsoftは自社の数千人規模の業務申請処理にServiceNowを活用し、「IT業務の全体像と依存関係をCMDBによって整理できた」と公式に発表している。
初心者でも扱える理由|ローコードで業務を自動化できる
ServiceNowの強みは、ローコード/ノーコード開発機能が整っていること。
難しいプログラミング言語を使わなくても、画面上でドラッグ&ドロップすることで業務アプリが作れる。
たとえば「新入社員のPCを手配するワークフロー」や「パスワード再発行の自動処理」など。
この仕組みによって、IT部門以外のユーザーも業務改善に関与できる。
たとえ話で理解するServiceNow
ServiceNowは巨大な工場の指示書とコンベアを合体させたもの。
製品(=業務処理)が流れるベルトの上に、あらかじめ「どこで止めて、何をして、どこへ送るか」が書かれている。
誰かが「この申請を通してください」と入れたら、コンベアが勝手に回り、必要な人に情報を送り、結果を返す。
人間はベルトに乗せるだけ。あとは仕組みが仕事を進める。
ServiceNowでできること|IT業務のすべてを内包
ServiceNowには複数のモジュールがあり、それぞれがIT部門の業務を自動化・可視化する。代表的な機能は以下のとおり。
- インシデント管理:障害やトラブルの記録と対応履歴の蓄積
- 問題管理:繰り返し起こる問題の根本原因を調査・管理
- 変更管理:システムの変更申請、承認、実施までのフロー管理
- ナレッジ管理:問い合わせ対応や手順書を集約した情報共有の場
- サービスカタログ:社内で提供される申請や依頼の一覧と自動化処理
これらはバラバラではなく、すべてCMDBと連携しながら動く。
機器の状態、申請の履歴、関係者の役割までがすべて結びついている。
キャリアとしてのServiceNow|需要が高まる背景
ServiceNow開発者の平均年収は米国で約14万ドルとされ、人材不足の状態が続いている。
理由は明確で、ServiceNowは企業にとって業務基盤の中核にあたるが、扱える人材が限られているから。
Glassdoorによると、ServiceNowの導入企業数は年々増加し、トレンドは右肩上がり。
公式トレーニングや資格制度(CSA, CAD, CIS)も整っており、未経験からでも習得しやすい環境が揃っている。
まとめ
ServiceNowは、「会社の中にあるITの全部」を管理するためのクラウド基盤。
あらゆるIT業務を一つの仕組みの中で動かすことができる。
中心にあるCMDBが構成と関係性を整理し、アプリがそれをもとに自動で動く構造になっている。
理解すればするほど、あらゆる“めんどう”をシステムに任せて、人間は判断と価値創出に集中できる仕組みだとわかる。
最初の一歩を越えれば、業務はもっと楽になり、やりたいことに時間を使えるようになる。