ITキャリア 働き方

あなたの仕事、静かに奪われている──インド市民開発者の浸食と日本ホワイトカラー淘汰の未来

もう始まっている。
あなたの代わりに、あなたと同じような作業を、より速く、より安く、より従順にこなす“誰か”が働いている。しかも、それはエンジニアですらない。プログラミング経験もない、けれどツールを自在に操るインドの市民開発者たちだ。

フリーランスサイトのFiverrを見てみればわかる。そこにはPower PlatformやAppSheet、Zapierなどのノーコードツールを使った「業務アプリ開発」の出品者があふれている。そしてそのほとんどがインド人だ。プロフィール写真も説明文も、どこか似ている。だが、その背後にはインド特有のIT教育インフラと、英語力、そして「職を奪ってでも生き残る」という飢えたマインドセットがある。

YouTubeを検索しても同じことが起きている。Microsoft Power Platform界隈で圧倒的な影響力を持つのが、インド出身のRaza Dorraniだ。彼のチュートリアルは世界中の企業担当者に支持され、インド国外の市民開発者さえ彼から学んでいる。日本人は、彼の動画の英語の早口に追いつけず、見終える前に諦める。

一方、インドでは英語は母語のひとつだ。テキストもドキュメントも苦にせず、世界中のノーコードツールを自在に扱う。なぜなら、彼らは「専門職」ではないからこそ、“すぐに使えるもの”しか選ばない。現場感と合理性に貫かれた実用主義がある。1ヶ月後の就職のために、3週間でスキルを習得し、Fiverrで仕事を獲りにいく。その姿勢に、日本の「便利屋的ホワイトカラー」は、もはや勝てない。

事実、日本企業の現場はすでにインドに侵食されている。PowerAppsで作られた社内申請アプリが、いつのまにかインドから納品されている。Slack通知の自動化フローが、外注管理表に「インド開発」と記載されている。あなたの知らないところで、あなたの「得意だった仕事」は、すでに別の誰かに置き換えられている。静かに、だが確実に。

そして、もっと恐ろしいのは、それが「気づかれないかたち」で起きていることだ。いきなり職を失うのではない。ただ、ある日「その業務は外注になりました」と言われる。それが1件、2件、3件と増えていく。やがて、自分の仕事が何だったのか、わからなくなる。

あなたはまだ、「自分には影響ない」と思っているかもしれない。けれど、エクセルの関数やマクロを駆使して「便利ですね」と言われていたそのスキルは、Fiverrでは$20で外注できる。しかも、納期は明日だ。英語で依頼できないなら、ChatGPTに翻訳させれば済む。

これは、もはや未来ではない。インド人の手は、すでにあなたの職場の裏側にまで届いている。
失われるのは仕事ではない。「自分にしかできない」と思っていた幻想だ。

生き残るために必要なのは、もはや“作れるかどうか”ではない。
“何を作るかを決められるか”。
“誰に任せ、どこで自分が価値を出すか”を問われる時代だ。

この変化は静かに進む。
だからこそ、気づいた者から動くしかない。
動かなければ、あなたの仕事はいつのまにか「なかったこと」になる。

もうすでに、そのカウントダウンは始まっている。