「頑張って勉強しないと生き残れない」そんなITの世界に疲れた。でも完全に諦めたくもない。自信はないけど、どこかでIT業界に関わっていたい。そんなあいまいで弱気な気持ちを、否定しない方法がある。
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エンジニアは“自由な職業”ではない。むしろその逆だ
エンジニアは自由でクリエイティブな仕事というイメージがある。だが現実は真逆に近い。責任とタスクの板挟みにされる仕事である。
一度作ったシステムに障害が出れば、時間に関係なく呼び出される。夜間対応や週末出勤が日常になる。自分の担当領域が曖昧なまま仕事が降ってくる。理由は「君の方がわかってるから」という言葉だけ。技術を持つほど仕事が集中し、逃げられない構造になる。
GitHubの年次レポートでも開発者のメンタル疲弊が顕著に増加している。コードを書くことではなく、人間関係や期待に疲れて離職するケースが多い。高スキルほど“潰れるリスク”が高いという矛盾を抱えている。
勉強し続けることが前提。学ばない者は淘汰される職種
ITの技術進化は、スマホの機種変より速い。3年前に学んだJavaScriptの書き方が、今は時代遅れ扱いされることもある。
Stack Overflowの開発者調査でも、約7割が「週に10時間以上の自己学習が必要」と回答している。これは、仕事とは別に追加で勉強する時間を取らなければならないという意味。
平日の夜は勉強、土日もハンズオン講座。家庭持ちの人間には物理的に不可能な学習量が求められる。“高収入”の裏に隠れているのは、自己研鑽への無限投資という現実である。
裏ルートとは、「全部自分でできる」ことに価値がある職種
技術ではなく裁量。エンジニアを目指さない者にとって重要なのはここである。
チームでの調整、発注待ち、レビュー、承認。このプロセスがなく、自分のアイデアを自分の手で形にして、そのまま使える状態にできる仕事こそ“裏ルート”である。
たとえるなら、レストランではなくキッチンカー。料理、接客、移動、会計すべて一人でできるから、自由とスピードがある。場所も時間も、誰の許可も要らない。自分の手で動かせる範囲が広いことが、“働く自由”の源泉になる。
ノーコードでも“全部できるようになる”には時間がかかる
ノーコードツールを使えば、開発未経験でもシステムが作れるようになる。だが操作を覚え、仕事に使えるまでにはそれなりの時間がかかる。
ボタンの配置、入力チェック、データの保存、画面遷移。1つずつ試して覚える過程が不可欠である。職場で「ちょっと便利なツールが作れる人」になるには、週3時間×3ヶ月程度の積み重ねが必要。
業務を知らないと設計できない。ツールのクセも知らないと不具合になる。“触ってみる”から“仕事になる”までは段階がある。
ノーコードでもコーディング知識があれば一歩先に行ける
ノーコードは便利な道具だが、完璧ではない。エラーの原因がツールの制限なのか、操作ミスなのかを判断するには基礎的なコード理解が助けになる。
たとえば、表示されない画面。HTMLの構造やCSSの概念がわかっていれば、どこを修正すればよいかが見えてくる。データ連携でJSONが絡む場面もある。
ノーコードは「誰でも使える自転車」、コード知識は「地図とコンパス」である。どこへ行けばいいかがわからないと、いくら便利な道具があっても迷う。コードを知らなくても始められるが、知っていれば数倍速く進める。
なぜこのルートを誰も教えてくれなかったのか?
転職支援は「即戦力の人材」を求めている。紹介する側も企業も、効率よく利益を出すため、未経験者には“派遣エンジニア”という無難な道を紹介する。
市民開発のような個人のアイデアや裁量で動ける仕事は、成果が本人依存になりやすく、スカウトや紹介に向いていない。情報も表に出づらい。
本当に価値ある働き方は、派手なものではなく、身近で目立たない場所にある。自分で気づき、動いた者だけがたどり着けるのが裏ルートである。
まとめ
エンジニアという看板は、時に重荷となる。誰かの期待に応え、トラブル対応に追われ、常に学び続けなければならない職業。
一方、“全部自分でできる”仕事には、評価も責任も、自由もすべて自分次第という明快さがある。裏ルートとは、誰にも許可を取らずに、ITの世界に関わり続ける手段である。少しずつでもその準備を始めれば、確かに道は開ける。