「もう27歳。未経験だし、何から始めればいいかわからない」そんな声は珍しくない。焦りや不安を感じるのは自然なこと。でも、必要なのは正しい順番と無駄を省いた学び方だけ。向いている・いないではなく、時代にあった動き方をするだけでいい。
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IT職は資格よりスキル。地に足のついた選択をする
資格を持っていることは採用基準にはならない。実際の現場では、「何ができるか」だけが問われる。資格は履歴書を飾るためのもので、実務ではほとんど活かされないことが多い。特にIT業界では変化が早く、3年前の知識がすでに古いとされることもある。
実践で役立つスキルを持っている人だけが残る。
例としてよくあるのが、ネットワークスペシャリストなどの国家資格を持っていても、コードが書けなかったり、ツールが使えなかったりして現場で困るケース。逆に、資格なしでもGitやデータベースが使える人のほうが重宝される。現場で求められるのは「証明」ではなく「結果」。
コードが書けなくてもITで働ける時代の到来
Andrej Karpathyは、Xで「コードを忘れて、ただ作りたいものをAIに伝えればいい」と発信している。AIの進化により、開発の中心は“指示”に変わりつつある。つまり、AIに的確な要求を伝える力のほうが重要になる。
ノーコードやローコードツールを使えば、ドラッグ操作や簡単な設定だけでWebアプリや業務ツールが作れる。たとえば、フォーム作成ツールの「Jotform」や、業務自動化ツールの「Zapier」など。これらを使いこなすスキルは今後のIT職の土台になる。
コードが書けなくても“ツールを動かせる人”は確実に求められる。
未経験者がしくじらないためのITスキル選び
スキル選びは“かんたんで効果が大きいもの”に限る。以下の3つを中心に考えると失敗が少ない。
- ノーコードツール(Bubble、Airtable)
- データベース操作(MySQL、SQLite)
- UI/UX基礎(Figma、Canva)
ノーコードは最小限の手順でアプリが作れる。データベースは情報の出し入れの中心技術。UI/UXは見た目や使いやすさを整える技術。これらを扱えると「使える人材」と認識されやすい。
たとえば、ハンバーガーを作るときに「肉を焼く」だけの人より、「焼いて、野菜を挟んで、袋に詰める」までできる人のほうが重宝されるのと同じ。分業ではなく、最低限の一通りをこなせる人が評価される。
資格マインドを捨て、AIで学ぶ「新しい自己教育」
スクールに通う必要はない。ChatGPTやReplitといったAIツールを使えば、質問しながら学ぶことができる。たとえば、「Figmaの基本操作を教えて」とAIに聞けば、すぐに図付きで説明をしてくれる。
重要なのは、「わからないことを自分で検索する癖をつけること」。学校のように受け身で知識を受け取る時代は終わった。
学びの形は“AIに聞く → 実践 → わからない部分だけ調べる”で十分。
アメリカ基準でキャリアを見る。求人も英語圏で考える
TechCrunchは、2024年のレポートで「最も成長しているスキルは、ツールを使いこなせる力」と書いている。特定のプログラミング言語よりも、「Notionを使ったプロジェクト管理」「Zapierによる自動化」などが評価される。
英語圏の求人では、「フルスタック」ではなく「ノーコード×データベース」のようなニッチな組み合わせが人気。たとえば、米Indeedでは「No-code Developer」「Automation Specialist」という職種が増えている。
日本の転職サイトで「未経験歓迎」を探すより、英語圏の求人で「どんなスキルが評価されているか」を知るほうが実用的。
プログラマーは目指さない。「自由に働ける人」になる
フロントエンドもバックエンドもすべてできる人は少ない。そのため、どこか一部に特化しても「依存」されることが増える。
目指すべきは「自由にツールを使いこなせる人」になること。プログラマーではなく「技術を使って仕事を作れる人」のほうが、結果として働き方の自由度が高くなる。
週3勤務でも業務を回せる。複数案件を持つこともできる。フリーランスのような立ち位置で会社に関わる働き方が現実的になる。
まとめ
ITキャリアに必要なのは「資格」や「完璧なコード力」ではない。AIやツールを使って仕事を作る力こそが価値になる時代。27歳未経験でも、地に足をつけた動き方をすれば、最短距離で仕事につながる。
向き不向きで考えるのではなく、「今ある環境でどう動くか」がすべて。重たい本を開くより、AIに質問して、手を動かすほうが早く身につく。
地道に見えて、実は効率的。そんなキャリアの選び方が、今もっとも賢い選択になる。