ITキャリア ローコード・ノーコード

【ノーコード/ローコードで食っていけるか?】コーディングなしで生き残るための条件

コードが書けなくても仕事になるのか、不安になるのは当然。ノーコードやローコードという言葉が広まり、誰でもアプリやWebサービスを作れる時代が来た。でも、それで本当に「食っていけるのか?」は別問題。安易な期待ではなく、現実を知っておく必要がある。

ノーコード/ローコードはキャリアになり得るのか?

アプリ開発や業務効率化が手軽にできる時代。GoogleはAppSheetを、MicrosoftはPowerAppsを提供し、エンジニアではない人でも開発できる世界を広げている。Gartnerは、2025年までに新規アプリの70%以上がノーコード/ローコードで構築されると予測している。

重要なのは「誰でも使える」ことではなく、「どう使いこなすか」。つまり、ツールを操作できるだけでは十分ではない。価値を作る発想と仕組みの理解が不可欠。

簡単なツール=簡単な仕事ではない

ノーコード/ローコードは「誰でも作れる」印象が強い。しかし、実際は「誰でも使えるが、誰でも成果を出せるわけではない」。使うのは簡単でも、価値を生み出すのは別の力がいる。

  • 誰に使ってもらうのか?
  • どんな課題を解決するのか?
  • それはお金になるのか?

これらの問いに答えられなければ、アプリを作っても仕事にはつながらない。

食っている人の共通点は「考える力」

ノーコード専門のビジネスを展開するBen Tossell(Makerpad創業者)は、「ノーコードはアイデアを形にするスピードを最大化する手段」と語る。彼の発信からは、技術ではなく思考と構造の重要性が読み取れる。

たとえば、単に予約フォームを作るのではなく、「どうやって予約率を上げるか」「どうやってリピーターを生むか」といった、仕組みづくりの視点を持つ人が結果を出している。

ノーコードの限界と“道具としての”認識

ノーコードツールは便利だが万能ではない。すべての開発を代替できるわけではない。制限のある環境で動くことが多く、カスタマイズが難しいこともある。たとえば、特定のプラグインが使えなかったり、API連携に制限があるケースがある。

例えるなら、ノーコードは「レゴブロック」。自由に組み立てられるが、用意されたパーツの中だけでしか形が作れない。それを踏まえて設計し、制約内で最大の価値を出す発想が求められる。

「仕事になる条件」はツールではなく構造化力にある

ノーコード/ローコードを使う人の中で、安定した収益を得ている人には共通点がある。

  • 課題を見つけて構造化できる
  • 必要最小限のプロダクトを素早くつくる
  • 改善サイクルを早く回す
  • シンプルなUXを重視する
  • MVP(最小限の実用プロダクト)を理解している

この思考法があれば、ツールが変わっても食っていける。

ノーコードでも「尖る」ことはできる

ノーコードは誰でも使えるからこそ「差別化」が重要。差をつけるためには、ある分野に特化した使い方を突き詰める必要がある。

  • 教育×ノーコード(オンライン教材構築)
  • 医療×ノーコード(予約・記録システム)
  • 飲食×ノーコード(テイクアウト対応アプリ)

これらは既に実例がある。どれも、現場の課題を深く理解した上でのノーコード活用だ。

ローコード/ノーコードでも本気で仕事になる環境がある

デザインエージェンシーの運営者でありノーコード開発者でもあるMaduri氏は、保険業界や医療業界もノーコードを活用しはじめていると語る。彼女の会社は、FramerやPlum(保険スタートアップ)とも連携しており、実務として活用できるレベルまでツールが成熟している現実を示している。

技術が障壁になる時代ではなくなった。使えるかより、使って何を生み出せるかが問われている。

ノーコードから始めて、徐々にコードを理解する

ノーコードは入口として優秀だが、完全に閉じた世界ではない。プラグインや連携が複雑化する場面では、少しのコーディング知識が求められる。

たとえば、JavaScriptを使ってカスタム動作を設定する場面。完全なエンジニアでなくても、**「エラーがどこで起きているか」「何を調整すればよいか」**を判断できれば、現場での価値は高い。

ノーコードで生き残るための現実的ステップ

  1. 特定の課題を選ぶ
    例:美容室の予約システム、小売店の在庫管理など
  2. ノーコードツールを選定する
    Bubble、Glide、Notion、Zapierなどから最適なものを選ぶ
  3. 小さく作って反応を得る
    完璧を目指さず、仮説を形にすることを優先
  4. 繰り返し改善する
    データを基に改善を繰り返し、継続的に価値を高める

まとめ

ノーコード/ローコードで食っていけるかという問いに対する答えは明確。「ツールではなく考え方」が決定する。誰でも使えるが、誰もが価値を出せるわけではない。

だからこそ、考える力、設計する力、改善する力があれば、ノーコードは十分に武器になる。ただのツールではなく、構想を形にする装置として活用できれば、コーディングなしでも仕事にできる世界は確かに存在している。