混乱するのも無理はない。HTTPもAPIも、ネットで「何かをもらう動き」に見えるから。でも仕組みや使い方はまるで別もの。どちらも「注文」だけど、店に行って席に座って取る寿司と、アプリで頼んで届く弁当は違う。この違いがわかれば、技術の使い方も、学び方も、もっとすっきり整理できる。
回転寿司:それがHTTPの世界
Webページを見るとき、スマホやパソコンはお店に入って席に座るようなもの。目の前のレーンにはHTMLや画像が流れていて、欲しいものをサクッと取る。欲しいページをクリックすれば、すぐ目の前にそれが表示される。
注文はシンプル。テーブルのボタンを押すだけ。特別なやりとりはいらない。ほとんどの人が使っている「インターネットを見る」という行動はこれ。
特徴
- 見えるものをそのまま受け取る
- ボタン一つで即反応
- 誰でもできる
- 特別な手続きや確認はない
ウーバーイーツ:それがAPIの世界
アプリを開いて、お弁当を選び、配達時間を選び、住所と支払い方法を設定する。料理はレストランで作られて、見えないところで運ばれてくる。スマホの画面には届かないが、裏では多くの情報が行き交っている。
注文の流れにはルールがある。住所が間違っていれば届かないし、支払い情報がなければ受付けてもらえない。配達員が見えるころには、すでに多くの処理が終わっている。
特徴
- データを指定して、決まった形で受け取る
- 認証やルールがある
- 裏側のやりとりが多い
- 人ではなくアプリやサーバーがやりとりする
どう違うか
比較項目 | 回転寿司(HTTP) | ウーバーイーツ(API) |
---|---|---|
対象 | ページや画像など目に見える情報 | ユーザー情報や商品の中身など見えないデータ |
送り手 | Webサーバー(目の前) | サービスの裏側(外部) |
やりとり | その場で完結 | 住所、支払い、確認などが必要 |
誰が使うか | 主に人 | 主にアプリや機械 |
何を得るか | 見るためのもの | 処理するためのもの |
よくある誤解
どちらもWebで使われているから、同じように見える。でも、行っている内容はまるで違う。
HTTPは「見に行く」行動。
APIは「頼んで処理してもらう」行動。
実際、APIの注文もHTTPという車に乗ってやってくる。でも運んでくる荷物の中身や、道中のやりとりは全く違う。
どこで使い分けるか
- Webページを表示したいとき → 回転寿司
- アプリ間でデータをやりとりしたいとき → ウーバーイーツ
HTMLでできたメニューを見たいだけなら前者
何かを注文して動かしたいなら後者
ストーリーで理解する
ある日、あなたは近くの寿司屋に入った。目の前にはレーン、タッチパネルで頼んだらすぐ届く。すべて見えるし、特別なことはない。その夜、お腹がすいてアプリで弁当を頼んだ。配達員が来るまでに、メニュー選び、配達先、支払い確認、全てが裏で終わっていた。表に見えたのは、手元に届いた弁当だけ。
どちらも「食べ物を手に入れる」けれど、流れもやり方も全然違う。
まとめ
HTTPとAPIはどちらも「もらう」手段。でも、やりとりの形、関係者の数、必要な情報の量が違う。ページを見るならHTTP。データをやりとるならAPI。
この違いが見えてくると、開発や設計の方向性もぶれなくなる。見える注文と、見えない注文。使い分けを知るだけで、すべての動きが読みやすくなる。理解することは、道に迷わないための地図を持つことに似ている。今その地図は、もう手の中にある。