ITキャリア

もうコーディングだけでは生き残れない――“技術×思考”時代のキャリア戦略

「このまま下請け案件に疲弊して人生終わるのか」。そう感じたあなたは正しい。今、必要とされているのは、ただ手を動かす人材ではない。「コードが書けるコンサル」こそが、次世代で自由を手にする鍵だ。

なぜ今、技術×思考が求められているのか

企業のシステム開発は外注から内製化へとシフトしている。理由は明快だ。変化の激しい時代において、社内でスピーディに意思決定し改善を繰り返せる組織構造が求められている。さらに、ノーコードツールの進化により、誰もがプロトタイピングを試みる時代が到来している。

ガートナーの「Future of Work Report(2023)」では、“Hybrid Talent”――すなわち業務理解と技術実装を両立する人材の必要性が繰り返し言及された。従来の「実装はSEに任せる」「分析はコンサルに任せる」という分業体制が限界を迎えている。

コーディングだけのキャリアはなぜ詰むのか

単純実装やテスト工程といったSES・受託案件は、個人の裁量が少なく、成長実感を得にくい。AIの進化がそれらの仕事を奪うスピードは加速している。ChatGPTの登場により、「コードを書くこと」自体の価値が揺らぎはじめた。

言われた仕様をこなすだけの人材は、AIに置き換わる可能性が高い。人間に求められるのは、「何を作るべきか」を定義し、それを設計できる力である。

4つのキャリアパスとあなたの立ち位置

技術スキルと課題解決スキル、この2軸で形成されるキャリアは、次の4つに分けられる。

  • 事業創出型エンジニア:高い技術と企画力を持ち、自ら新規事業を起こす立場。CTOや起業家が代表例。
  • 業務改善型コンサルタント:コードは最低限でも、業務理解と構造化力で改善を導く。Power Platformを武器にした“市民開発者”もここに属する。
  • 作業実行型スタッフ:上からの指示をこなすのみの立場。ルーティン作業が中心で、代替可能性が高い。
  • 受託型プログラマー:技術はあるが、要件定義や設計に関与できず、使われる側にとどまる。

市民開発者という立場は、必ずしもコーディングのスキルを問わない。むしろ、現場の文脈を知る者が「ちょっと作れる」ことで劇的に業務を変えることができる。Power PlatformやNotion、Airtableといったツールは、そんな変化を後押しする存在だ。

社畜にならずに生きるルートはどこか

企業に用意されたキャリアパスにただ従うだけでは、自分の頭で考えない“従属キャリア”に陥る。その結果、職場に人生をささげ、プライベートすら奪われるリスクがある。

この構造に疑問を持たなければ、あなた自身が“使われる人材”として一生を終える。

必要なのは、自ら問いを立て、自ら設計し、自ら動ける力。小さくても「自分で作った」経験が、支配からの脱却を可能にする。

具体的キャリアプランとスキルマップ

まずは業務改善ツールを使って、業務の見える化と自動化に取り組む。Power PlatformやNotion APIがその入り口となる。

次に、ChatGPTでプロンプト設計を学び、AI活用のリテラシーを高める。続いてSQLやデータモデリングを通じて、定量的な課題分析の素地を養う。小規模プロジェクトのPMを経験すれば、要件定義と実装の橋渡しができる力がつく。

最後に、フリーランスで実案件を獲得することで、単価コントロールと自己裁量のある働き方を目指す。

コーディング不要論ではない

技術は依然として重要な武器である。しかし、それは単に「書ける」ことではなく、「活用して変化を起こせるか」が問われる。

Googleのエンジニアも、実装作業よりも「どう解くか」に時間の8割を費やしているという。問題解決の視点を持たなければ、コードはただの手段にすぎない。

参考:Google Engineering Productivity Study (2022)

まとめ

開発スキルとコンサルスキル。どちらか片方だけでは、これからの時代を自由に生きられない。

しかし、今のあなたがどちらに偏っていても構わない。軸を理解し、伸ばす方向を決めることがすべての起点になる。

用意された道を歩くのではなく、自分でルートを描く力が、あなたの人生を守る最大の武器になる。