IT用語 用語比較

Webアプリに出てくる3つのサーバーのちがい ― WAS、APIサーバー、APサーバーをやさしく整理

Webアプリを開発していると、「このサーバーはWASです」「APIサーバーが別にあって…」「APサーバーにデプロイします」などといった言葉を聞くことがある。

言葉が似ていて、何がちがうのか混乱しやすいが、それぞれの役割ははっきりしている。
ちがいをひとことで言えば、「何を返すのか」「誰が画面を作るのか」に注目すれば理解しやすい。

1. Web Application Server(WAS):画面も作ってくれるサーバー

WASは、Webアプリの“画面”をサーバーで作って返す役割を持つ。

たとえばログイン画面や、商品一覧のページなど。こうしたページをサーバー側で作って、HTMLとしてユーザーのブラウザに返すのがWAS。

WASは、ページを作るときに「テンプレートエンジン」という仕組みを使うことが多い。これは、設計図(テンプレート)に、必要なデータを当てはめて完成したページを組み立てるもの。

🍽 たとえ話:定食屋の店主

WASは、料理も盛り付けも全部やって、できた料理をそのままお客さんに出す
お客さんはそのまま食べればいい。

つまり、WASは「メニュー作成」「料理」「盛り付け」まで全部やるシステム

✅ WASの特徴まとめ

  • HTML、CSS、JavaScriptなど「見えるページ」を返す
  • 画面の中身をサーバーが決める
  • ユーザーのブラウザはそれをそのまま表示するだけ

2. APIサーバー:データだけを返すサーバー

APIサーバーは、データだけを返すサーバー。画面(HTMLなど)は作らない。

ユーザーが見ている画面は、React や Vue などのフロントエンドの仕組みで動いていて、そこから APIサーバーに「データちょうだい」とお願いして情報をもらう

APIサーバーは、お願いに対して「JSON」や「XML」という形式でデータだけを返す。見た目は一切作らない。あくまで必要な材料を出すだけの役割。

🧺 たとえ話:スーパーの食材コーナー

APIサーバーは、食材だけを用意するスーパーのコーナーのようなもの。
肉、野菜、調味料などを袋に入れて「はい、どうぞ」と渡す。

でも、それをどう料理して、どう盛りつけて、どう食べるかはお客さん(フロントエンド)が考える

つまり、APIサーバーは“材料だけ出す係”

✅ APIサーバーの特徴まとめ

  • JSONなどの形式でデータを返す
  • HTMLは返さない、画面は作らない
  • SPA(シングルページアプリケーション)やスマホアプリと組み合わせて使うことが多い

3. APサーバー(アプリケーションサーバー):あいまいな使われ方に注意

APサーバーという言葉は、正式な定義があいまいで、場面によって意味が変わる

あるときはWASのことを指していたり、またあるときはAPIサーバーのことだったり、文脈によって違う意味で使われる

日本ではとくに、「Webサーバー」と「APサーバー」を分けて使うことが多い。

たとえば、

  • Webサーバー(例:Nginx)は、リクエストを受け取って静的なファイル(画像やHTML)を返す
  • APサーバー(例:RailsやNode.js)は、アプリケーションのロジックを動かす本体

このような使われ方をする。

👨‍🍳 たとえ話:料理人全般を指す言葉

APサーバーという言葉は、料理人そのものにたとえられる。

どんな料理を作るのか?どこまで仕事をするのか?はそのときどきでちがう。
イタリアンのシェフかもしれないし、寿司職人かもしれない。

つまり、「APサーバー」という言葉を見たときは、その人が何の料理を担当しているのか(= どんな役割のサーバーか)を、ちゃんと文脈から判断する必要がある

✅ APサーバーの特徴まとめ

  • 定義があいまいで文脈によって意味が変わる
  • インフラの話では「WebとAPに分ける」といった使い方をされる
  • 技術者同士でも「APってどっちのこと?」と確認が必要になる場面が多い

まとめ:料理でたとえるとちがいがわかりやすい

サーバー名説明たとえ話
WAS(Web Application Server)画面もデータも返すサーバー定食屋の店主が料理を作って盛り付けて出す
APIサーバーデータだけ返すサーバー食材だけ渡すスーパーの係
APサーバー文脈しだいで意味が変わる用語料理人全般をまとめて言っているようなもの

最後に:どれを使えばいいの?

  • 昔ながらのWebサイトを作るなら、WAS(サーバーがHTMLを作る方式)がシンプルで向いている
  • 今どきのアプリ(ReactやVueなどを使う)なら、フロントで画面を作り、APIサーバーでデータを返す方式が一般的
  • APサーバーという言葉が出てきたら、その場の人がどういう意味で使っているかをよく確認すること

それぞれの役割をしっかり整理すれば、「なんとなく聞いたことあるけどよくわからないサーバーの名前」も、ちゃんと使い分けできるようになる。
Webアプリの構成が見えてくると、全体の流れももっと理解しやすくなる。