気がつけば30歳。今さら未経験からIT業界に飛び込んでも遅いのではないか。学歴もない、数学も苦手、努力する自信もない。でも安定した仕事が欲しい。スキルもつけたい。そんな矛盾した願いを抱えているなら、正面突破ではなく“ズルい道”を選ぶべきかもしれない。
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努力と才能の王道ルートは、理系エリートで渋滞している
ITエンジニアという職種は、表向き「未経験でも挑戦できる」と言われる。しかし現実には、情報系の大学を出て新卒から10年積み重ねた人材がプロジェクトを回している。
Googleの元CEO、エリック・シュミットは「深い技術理解を持つ者が組織を導く」と語っている。意味のない暗記や形式的な資格ではなく、コンピューターの根本を理解する力が価値を持つということ。
未経験の30歳はこの時点で、積み上げの10年を失っている状態。しかも数学が苦手なら、設計やアルゴリズムの理解にも時間がかかる。努力と才能を要求されるコースは、すでに満席だ。
30歳で「働きながら学ぶ」は、ほぼ不可能に近い
SESや常用型派遣としてIT業界に入った未経験者の多くが、オペレーターやヘルプデスク業務に配属される。ここでは開発経験も設計スキルも身につかない。
仕事後に自主学習をしようとしても、疲れた頭では手が止まる。土日も遊びたい気持ちは消せない。つまり、スキルアップの時間が圧倒的に足りない。
努力するための「環境」が揃っていない。サッカーで言えば、ボールもフィールドも持っていないのに試合に勝てと言われているようなもの。
ズルい道=ノーコード×AI。理系が嫌がる領域で勝て
ノーコードは、コードを書かずにアプリや業務ツールを作れる仕組み。ローコードは少しのスクリプトだけで開発できる。AIはその操作をもっと簡単にしてくれる。
Gartnerは2025年までに企業の50%以上が「市民開発者(非エンジニアの開発者)」によって支えられると予測している。プログラミングスキルより、業務知識や問題解決能力が求められる領域だ。
ノーコードは理系エリートが見下す場所。だが裏を返せば、誰も本気で狙ってこない穴場ということ。そこにAIという武器を持ち込めば、スピードと再現性で優位に立てる。
「ノーコードなんてダサい」と言う人は、戦場を間違えている
ノーコードに対して、「本物の技術者じゃない」とする声は多い。だが現場で評価されるのは、「作れるか」より「売上や工数をどれだけ改善できるか」。
例えば、紙で行っていた申請業務をNotionやAirtableで電子化し、Google Apps ScriptでSlack通知と連携させる。それだけで数十時間の作業が削減される。コードが書けるかどうかは関係ない。
料理で言えば、包丁の握り方にこだわって味を無視する料理人と、冷凍食品でも完璧に盛り付けて客を満足させるシェフ。顧客が求めるのは後者だ。
「ズルい専門性」で市場価値をつくる
短期間で「替えのきかない人」になるには、極端な一点集中が必要。ノーコード×AIで狙えるニッチは無数にある。
たとえば以下のような組み合わせがある。
- Zapierでバックオフィス業務の自動化を構築
- OutSystemsで大企業の業務アプリを高速開発
- Retoolで社内ツールを最速で組み立てる
このようなツールは、最短数週間の習得で業務に使える。習得後に「誰でもできる」部分を超えて、「誰もやらない」レベルまで極めれば、それが専門性になる。
プロでなくても、職場で「この人がいないと困る」という立ち位置は取れる。
まとめ
30歳から未経験でITエンジニアを目指すなら、王道を選ぶだけでは勝てない。数学が苦手、努力が続かない、才能がない。そうした不利を抱えているなら、「ズルい道」にこそ活路がある。
ノーコード×AIという組み合わせは、裏道でありながら、今後の主戦場にもなりうる。必要なのは情熱やセンスではない。狭く深く、スピード勝負で一点突破する姿勢だ。
エリートが避ける場所に踏み込んだ者だけが、30歳からでも主役になれる。