DAOは自由だ。肩書きも社歴も問われない。けれど現実には、そこに立っているだけで評価されるほど甘くない。実力がないと存在すら気づかれない。あなたが狙うべきフィールドは、“高み”ではなく、誰も狙ってこない“低空”だ。
DAOでも「何ができるか」が問われる
DAO(分散型自律組織)は、上下関係のない自由な組織だ。指示をまつ必要もない。出社もしない。だがそこに「人並み」の居場所はない。何ができるのか、どう貢献できるのか。それだけが価値になる。
報酬は主にトークン(仮想通貨)で支払われる。つまり成果がなければ給料はゼロということになる。これがDAOにおける現実だ。実力主義というより、貢献主義に近い。
「いますぐ働ける人」しか求められない。
「これから学びます」では遅い。何かしらできることがなければ、DAOの仕事は回ってこない。
高学歴が集まらない“低空領域”がチャンス
DAOの中にも“競争の激しいポジション”と“見むきもされない領域”がある。前者は、プロトコル開発やトークン設計のような、上級エンジニアや海外MBA経験者がひしめく場所。後者は、日本語ドキュメントの作成、Discord運営、イベントの司会進行、ノーコードツールの設定など。
専門性は低いが需要はある。
そしてこのポジションに、高学歴人材は来ない。どろ臭く、地味だからだ。だがDAOでは、こうした作業を正確に継続できる人材が、強くもとめられている。
たとえば「Ninja DAO」は、NFTを中心に活動する日本最大級のDAO。ここでは英語が苦手でも、日本語ドキュメントを整備したり、初心者対応を続けたりすることで、貢献が可視化され、信頼と報酬を得ている人が実在する。
狙うべきは“華やかでないが誰もやっていない場所”。
専門性は「学び方」で差がつく
DAOでは、大学名や資格よりも、どれだけ早く習得し、アウトプットできるかが問われる。見るべきはスキルの高さではなく、速さと実行力だ。
例:英語+ノーコードツール(例:Tally、Notion、Zapier)
これらを活用して、「提案フォームを自動化する」「DAOのメンバー管理を可視化する」だけで、十分に評価される。
たとえば、あるメンバーは英語の自己紹介と簡単なNotionページを作って、自分の作業実績を公開した。それだけで海外DAOからの依頼が入るようになった。派手な成果はなくても、“自分が何をしてきたか”が見える人は強い。
DAOは、発表会のない学校のようなものだ。黙って座っているだけでは、先生(DAO運営)も存在に気づかない。だから提出物=成果物を自分で見せるしかない。
競争を避けることが最善戦略になる
DAOでは、ハイエンド人材ほど最先端に群がる。その逆を行くのが、弱者の戦い方だ。
- 翻訳作業(海外DAO → 日本語)
- コミュニティガイドの作成
- プロジェクトの議事録要約
- イベントのタイムキーパー
こうした仕事は、DAO内で継続性のある役割として必要とされている。そして誰も「やりたい」と言わない。そこにこそ、生き残る道がある。
戦うのではなく、避けることが戦術になる。
あえて競争の激しい領域には近づかない。これがDAOという自由経済のなかで、無名の人が価値を持つための現実的な方法だ。
まとめ
DAOは、自由な働き方を提供してくれる組織だ。だが、その自由にはスキルという代償が必要になる。しかも、ただのスキルではない。競争を避けた位置で専門性を持つという、逆張りの戦略がカギになる。
英語、ノーコード、継続的な作業。これらを組みあわせ、DAOの中で「いてくれて助かる人」になれれば、華やかでなくても生き残れる。スキルは肩書きの代わりになる。
DAOという広場は誰にでも開かれている。ただし、注目されるには、自分だけの“得意な立ち位置”を見つけなければならない。それは、高学歴がねらわない低空飛行のフィールドにこそ、ねむっている。