「努力すればいつかプログラマーになれる」
「今は下積みだから我慢するしかない」
そう信じて働いてきた。
けれど、今もルーチン対応が続くだけで、未来は見えないまま。
それでも、あなたが培ってきた業務の知識と現場の理解は、これからの時代にこそ価値を持つ。
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ヘルプデスクでは“職能の上限”にぶつかる
ヘルプデスクは「ITの入り口」として多くの未経験者に開かれているポジション。
だが、その性質上、キャリアとしての限界が早い。
- トラブル対応の型は決まっている
- 属人性を嫌って「仕組み化」が進む
- ベンダーに丸投げされやすい
- 自動化やAI導入でポジションが縮小傾向にある
つまり、積み重ねるほど役割が狭くなる職種である。
努力すれば上に行けるわけではない。構造的に“上が存在しない”場合がある。
プログラマーになる=キャリア成功ではない
よくある選択肢として、開発職への転身が挙げられる。
だが、現実には“燃え尽きる人”も多い。
- 技術のキャッチアップが常に求められる
- 勉強しても報われるとは限らない
- ブラックな開発現場にあたることもある
- 出世ルートが限られる企業文化もある
開発職自体が悪いわけではない。
ただし、「誰もがそこに向かうべき」という時代ではなくなった。
ヘルプデスク出身者に最も適したスキルは「業務の再設計」
ここで注目すべきなのが、ローコード/ノーコード + AIのスキル。
これは開発よりも、業務理解に長けた人間のほうが成功しやすい分野だ。
ヘルプデスクで日々対応する問い合わせ、煩雑な申請フロー、情報共有の抜け漏れ。
これらはすべて、業務の“構造的なムダ”を可視化するヒントになっている。
- Power Platformでアプリを作れば、申請フローを5分に短縮できる
- Power Automateで通知と集計を自動化すれば、週次業務が消える
- CopilotやGPTでマニュアル作成を簡略化できる
コードを書かずに、業務を変えられる。
これこそ、ヘルプデスク出身者が「意味のある変化」を生み出せる場所になる。
現場を見てきた人間だからこそ作れる仕組みがある
ローコードツールの弱点は、業務の流れを知らないと意味がないこと。
どこに手を加えればムダがなくなるか、どういう承認フローが現実的か、
それを判断するには「現場目線」が不可欠になる。
- 現場で何が起きているか
- どこが詰まっているか
- 誰が何に困っているか
これらの情報は、ヘルプデスクにしか集まらない。
だからこそ、アプリを作るのに「ITの天才」はいらない。
必要なのは、地に足のついた業務知識と改善意欲。
マインドチェンジが最大のハードル
ローコードもAIも、ツール自体は誰でも使える。
問題は、「自分がそれを使っていい」と思えるかどうか。
- 開発は専門職の仕事だと思い込んでいる
- ヘルプデスクは改善の主役になれないと思っている
- ツールの学習は無駄だと感じている
この考え方を変えなければ、どれだけチャンスがあっても手にできない。
業務を知っていて、現場を理解している。
それなのに、自分を“単なるサポート役”に閉じ込めてしまっている。
その枠を壊すことができれば、技術の習得よりずっと速く変化を起こせる。
小さな改善が、大きな信頼に変わる瞬間
たとえば、社内のアカウント申請フローがExcelとメールで行われているとする。
- 添付ファイルのミス
- 承認者不在での遅延
- 情報の重複
こうした問題は、申請フォームと自動通知で一掃できる。
たったそれだけで、業務時間が数時間削減され、関係者から「すごい」と言われる。
その瞬間、自分の価値が「対応する人」から「変える人」へと書き換わる。
それがキャリアの転換点になる。
まとめ
ヘルプデスクは、始まりに過ぎない。
けれど、そこに長くとどまることが最善ではない。
コードを書けなくても、業務は変えられる。
開発者にならなくても、技術の主導権は握れる。
そのために必要なのは、ローコード/ノーコードとAIの活用。
そして、すでにあなたの中にある現場理解という武器。
ヘルプデスクで過ごした時間は、けっして無駄じゃない。
それをどう使うかを決めるのは、自分自身の選び方だけになる。