職場で成長できない。努力はしている。けど報われない。そんな焦りを持つあなたが、なぜ今の環境で進化できないのか。その答えは、会社が「育てる場所ではない」という当たり前の事実にある。責めるべきは組織ではなく、育ててもらえる前提で立ち止まっている自分自身だ。
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育成される側の“前提”がすでに崩壊している
企業は教育機関ではない。労働力を必要としている組織にすぎない。経済産業省の『人材育成に関する企業の意識調査(2023年版)』によれば、「育成に投資するよりも、即戦力を外部から採用する方が効果的」と答えた企業が全体の64%に達した。育成はコストであり、リターンが読めなければ投資対象から外れる。
やる気があれば伸ばしてくれるという幻想は成立しない。やる気は見せるものでなく、行動に変換されて初めて評価される。面接で「何でもやります」と語る人間が、入社後に1つもアウトプットできない例は無数にある。
成長の主語が「他人」のままでは変われない
「教えてくれない」「育ててくれない」「放置されている」
この3つの言葉はすべて他責の表現である。主体が他人である限り、自分の成長は他人任せになる。
ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR, 2022年7月号)では、組織内で自律的に学習する社員の特徴として「他者の指示を待たず、学習計画を自ら設計できる力」が挙げられている。
この力は職種を問わず評価される。
“学ばせてもらう”という受動的姿勢がもたらすのは、成長の遅延と評価の低下だけである。
実態:若手=伸びしろではない
年齢が若ければポテンシャルがある、という考えは企業内部でも崩れつつある。
とくにDXやAI領域では、年齢よりも「すでに自分で試してみた経験」こそが武器になる。
職場において若さが価値を持つのは「伸びる期待」がある場合のみ。だが現実には、
- 社会問題に関心がない
- 情報のキャッチアップが遅い
- 自分の役割を言語化できない
こうした“考えない若手”が多数を占めている。
若いこと自体が価値だった時代は終わった。
成長コストを支払う覚悟がない人材は“育てない”
企業は人を選ぶ。優先順位がある。
現場に余力がなければ、「育てにくい人」は自然と見送られる。
とくに、以下のような属性は早期に見切られやすい。
- 受け身で行動を起こさない
- すぐ感情的になる
- 書き言葉での説明が苦手
- 意見を求めると黙る
- 忘れる・続かない・型にハマらない
このような特徴がある人に対して、現場は「やる気がない」と判断する。
その時点で“育成コスト”というラベルが貼られ、排除の対象になる。
たとえ話:伸びしろ信仰は“賞味期限切れの卵”
伸びしろという言葉は、スーパーで売られている卵のようなもの。
購入直後は期待値があるが、放っておけばすぐに腐る。
未経験でも時間があれば育つ、と考えるのは自由だが、その時間を腐らせてしまう人間が圧倒的に多い。
気がつけば賞味期限が切れており、「なぜか評価されない」と首をかしげる。
自立=成長のスイッチを自分で押すこと
職場に期待しない。環境に依存しない。
その意識が“育成される側”からの脱却を促す。
テクノロジー人材育成に関するIPAの2023年度報告書では、「自己学習を継続できる人材」は“希少性が高く、採用優先度が非常に高い”と明記されている。
このような人材は社内教育プログラムの対象ではなく、最初から戦力とみなされる。
要点は、以下の3つに集約される。
- 他人に任せるな
- 自分を育てる計画を持て
- 職場を学校だと思うな
まとめ
育成されないことに不満を持つ時代は、すでに終わっている。
企業が求めているのは、自ら学び自ら進化する人間。
その現実から目をそらさず、「自分を伸ばす責任」は自分自身にあると認めることがスタートになる。
育ててもらえる人ではなく、放っておいても伸びる人に。
職場が母親ではないのなら、自分自身が自分を育てるしかない。