ITキャリア

IT逆転劇はたった“5%”──残り95%が沈む現実を直視せよ

あなたは努力すれば報われると信じてきたかもしれない。けれど現実は、ほんの5%の人しか“逆転”を果たせない構造になっている。どれだけ頑張っても、残り95%に飲み込まれる仕組みがある。これは才能や性格の問題じゃない。数字で証明されている事実だ。

年収850万円の壁と採用フィルター

年収850万円以上は、日本の給与所得者の上位10%にあたる。国税庁の調査によると、その水準に到達するには、最初から高年収レンジに属する企業に入ることが必要になる。企業側はこの“入り口”で厳しいフィルターをかける。学歴、専攻、大学名、インターン歴。すべてが評価対象になる。

特にIT業界では、「偏差値65未満×非コンピュータサイエンス(CS)専攻」の人材がこの壁に阻まれやすい。たとえば、外資系ITや大手SaaS企業は、CS(コンピュータサイエンス)専攻でなければ選考対象にすらならないケースが多い。選考の時点で95%は弾かれている。

採用後の初任給も大きく異なる。日系の中堅SIerでは320万円台に留まるのに対し、GoogleやAWSでは新卒で年収700万円を超える。スタート時点で年収が倍近く違う。

昇進スピードの差はキャリア全体を分ける

採用の次に待っているのが昇進のスピード。これも高学歴・CS専攻組が圧倒的に速い。主任相当の役職に到達するまでに、CS専攻では約5年。非CSでは14年かかるという調査結果がある。9年の差は、単なる数字ではない。

9年あれば、景気は一周して企業の方針が変わる。部署も変わる。それに伴ってスキルの積み重ねがリセットされやすくなる。つまりレベルアップの経験値テーブルが途中で途切れてしまう

ゲームで例えると、CS専攻のキャラクターはスライムを1匹倒せば経験値100が入るが、非CSのキャラクターは1匹で5しかもらえない。しかも、何度も町に戻されてアイテムを失う。そうなるとレベル10に到達する前に、冒険そのものを諦める人が出てくる。

コア技術領域にアクセスできる人とできない人の差

高年収を実現するには、プロジェクトの中心に入る必要がある。AI、クラウド、マイクロサービス。これらは企業の“コア技術”であり、そこに関わることで報酬もスキルも跳ね上がる。

ただしこの領域に入れるのは、偏差値上位大学のCS専攻に集中している。彼らは「学習コストが低い」と判断され、最初からハイレベルなプロジェクトに配属される。非CSの人は、ドキュメント整理やテスト工程、マイグレーションの補助業務などに回されることが多い。

同じIT企業に所属していても、参加しているプロジェクトの質に大きな差がある。これはポジションの違いではなく、“構造の差”として固定化される。

図で表すとこうなる。

┌─────────────┐
│      技術コア領域      │ 参加者:CS専攻・高学歴
└─────────────┘
           ↓
┌─────────────┐
│     周辺サポート業務     │ 参加者:非CS・中堅大
└─────────────┘

この構造の違いが、5年後・10年後に収入とキャリアの非対称性を生む。

SNSの成功談はサンプルが偏っている

「文系から年収1000万円」「独学で逆転」などの成功談はSNS上に溢れている。だが、これらはサンプルとして偏っている。発信する側は成功者であるため、失敗例は表に出にくい。つまり“逆転できた5%の声”だけが拡散される仕組みになっている。

一方で、残りの95%は日々をこなしている。努力はしているが、目に見える成果にならず、役職も年収も横ばいのまま。こうした現実は可視化されない。静かに沈む構造の中にある。

それでも逆転するには、Power Appsと英語に賭けた

IT業界の業務委託として働いていた頃、自分には専門性も肩書もなかった。開発経験も浅く、コードもろくに書けない。職場では誰でもできる補助作業をこなし、評価の対象にもなっていなかった。

転機は、英語学習に投資してきたことだった。ある日ふと、業務改善について英語で使い方を徹底的に調べた。Youtube動画をくまなく見て、海外の業務改善事例を読み漁った。

そうすると、MiscroSoft社のPower Appsが多く活用されていることを知った。僕はそのとき、「プログラミング経験がなくてもアプリが作れるこのツールに賭けよう」と思った。

さっそく、M365の通常ライセンス内で、社内では手が回っていなかった業務フローを自動化するアプリを複数構築した。さいしょはバグだらけだったけど、Power Appsで可視化できる成果が増えるにつれ、社内での立ち位置が変わった。

非開発出身でも技術的な提案ができるようになり、制度を活用してITコンサル寄りの職域にキャリアをシフトすることができた。

転職はしていない。だが、社内にいながら“別の職種”を選び直せたことで、関わるプロジェクトの質も、キャリアの選択肢も大きく変わった。専門性がなかったからこそ、ノーコードと英語が突破口になった。構造の内側で勝てないなら、社内構造の“別ルート”を選ぶという選択肢も、逆転の手段になり得る。

まとめ

高収入ITキャリアの現実は、努力よりも構造に左右されている。偏差値、専攻、配属先、企業ランク。これらが最初から“ルール”として存在し、9割以上の人が沈む設計になっている。だがその中で5%の人だけが逆転できるのは、構造を変える手段を選んだから。

ノーコードと英語という組み合わせは、その手段のひとつにすぎない。ただし、それは“例外”ではない。構造を読むことができれば、別の道は用意されている。やり方が変わるだけで、辿り着く場所も変わる。それが現実の中で生まれる逆転のしくみ。