ノーコードを使って何かを作れる人は増えている。でも、作れるだけではお金にならない。
どういう課題をどう解決するかを読める力こそが、これからの時代の“稼ぐ力”になる。
世界のITコンサル企業は、ノーコードを単なるツールとしてではなく、「意味ある変化を生む手段」として使っている。その視点が、稼げるかどうかを分けている。
ノーコードを武器にするITコンサル企業の共通点
ノーコードを活用しているグローバルのITコンサル企業には、ある共通点がある。技術よりも「設計」と「構造」に重きを置いていることだ。
たとえばアメリカのITコンサル企業「Slalom(スラローム)」は、AirtableやPower Platformなどのノーコードツールを活用しているが、ただ作るのではなく、最初にビジネス全体の流れや仕組みを深く理解するところから始めている。
Slalomの創業者ジョン・トービンはこう言っている。
ノーコードは開発の手抜きではない。ビジネスを言葉にする“翻訳機”である。
この言葉が示すのは、「ツールをどう使うか」ではなく、「何をどう変えたいか」が先にあるということ。ツールを使うだけの人と、構造を読んで選ぶ人とでは、稼げる単価も信頼もまるで違う。
「作れる人」では足りない理由
YouTubeやSNSで紹介されているノーコードツールの使い方を覚えれば、誰でも何かしら作れる。でも、それは「料理のレシピ通りに作れる」ことと同じ。問題は、どんな料理を出すべきかを決めるセンスと経験があるかどうか。
たとえば会社の現場では、こんな問題がよく起こる。
- 情報がバラバラで探しにくい
- 紙やExcelで手作業が多い
- チーム間の連携が取れていない
このとき、ただフォームを作ったり、ワークフローを自動化しても、本質的な解決にはならない。どこに無駄があり、どこを変えると仕事がラクになるのか、全体の構造を読まないと、的外れなツールになる。
Gartnerの2024年の調査でも、「ノーコードが普及しても、必要とされるのは“業務設計力”」だとはっきり書かれている。
コンサル企業は「翻訳力」を重視している
たとえば「Thoughtworks(ソートワークス)」というグローバルITコンサル企業も、ノーコードを使ってはいるが、それは最後の手段だ。最初にやるのは、クライアントの業務や課題を“モデル化”すること。
彼らのレポートではこう言っている。
私たちは、コードを書くより先に、ビジネスを図にする。ノーコードはそのあとで使う。
ここがポイント。ノーコードは最初から使うものではなく、考えた結果として選ばれるツール。
- 誰が困っているか
- なぜ困っているか
- どう変えると良くなるか
こういった問いに答えられる人が、ノーコードを「意味ある形」で使える。
稼げるノーコード人材に共通する力
ノーコードを学ぶ前に、まず「何が求められているか」を考えたほうがいい。コンサル企業のように、次のような視点が必要になる。
- 現場の流れを紙に書いて説明できる
- 問題の優先度がわかる
- 使うツールを選べるだけの知識がある
- わかりやすく説明する力がある
ノーコードの「技術力」よりも、ノーコードをどう“意味づけ”できるかが職能になる。
まとめ
ノーコードの時代に稼ぐのは、作れる人ではなく、構造を読める人。
ITコンサル企業は、ノーコードをただの技術ではなく、「意味のある変化を生む手段」として使っている。
個人でもこの視点を持てば、単なる“作業者”ではなく、「価値を設計できる人」として活躍できる。
スキルに投資するなら、「使えること」よりも「読めること」に時間をかけたほうが、確実に差がつく。