「DXコンサルタントはわかるけど、業務コンサルタント(BPR)って何をする人?」という声は少なくない。現場改善の人?それともIT導入の支援?システムの専門家?――その輪郭はDXコンサルタントに比べてあいまいに見える。
実際には、業務コンサルタント(BPR)もテクノロジーの理解が不可欠であり、ITを活用しながらビジネスの仕組みを変える専門家である。本記事では、DXコンサルとの違いを軸に、業務コンサルタントの役割をわかりやすく分解し、どのように専門性を築くべきかを整理する。
Contents
業務コンサルタント(BPR)とは何か?
BPRとは Business Process Re-engineering(業務改革) の略。業務コンサルタント(BPR)は、企業の中にある業務プロセス――営業、受発注、請求、問い合わせ対応など――を見直し、無駄や非効率を洗い出して、よりスムーズな流れに変える専門職。
たとえば以下のような課題を扱う:
- 書類処理に時間がかかりすぎる
- 二重入力が多く、ミスが絶えない
- 顧客対応の品質がバラバラ
- 経理処理が属人化している
このような課題を、業務フローの可視化、課題抽出、改善案の設計、ITツールの導入検討、現場定着支援といった流れで解決していく。
まるで、工場のベルトコンベアを一度止めて、動きやすく整え直し、再稼働させるエンジニアのような役割を担う。
DXコンサルタントとの違い
DXコンサルタントは「企業の変革全体」を対象とする。一方、業務コンサルタントは「業務の流れ」を主戦場とする。
項目 | DXコンサルタント | 業務コンサルタント(BPR) |
---|---|---|
対象領域 | 経営戦略、組織、文化、事業モデル | 業務プロセス、業務ルール、運用方法 |
目的 | デジタルを活用した事業の再構築 | 現行業務の最適化・効率化 |
使用技術 | AI、クラウド、データ基盤など広範囲 | RPA、SFA、ワークフローなど現場密着型 |
顧客接点 | 経営層、事業責任者 | 部門マネージャー、実務担当者 |
DXが未来を描く絵師なら、BPRはいまの現場にメスを入れる外科医に近い。絵空事にならないように現実を整える人とも言える。
ITコンサルタントの一部なのか?
多くのBPRプロジェクトでは、ITの導入・活用が避けられない。
たとえば:
- 手作業を自動化するRPA
- 営業プロセスの標準化を図るSFA
- フロー管理を担うワークフローシステム
- データの可視化を実現するBIツール
こうしたツール選定・導入に関与するという意味で、BPRコンサルタントはITコンサルタント的な役割も担う。ただし、立ち位置は異なる。
- ITコンサル:技術の選定と実装が中心
- 業務コンサル:業務視点でITの必要性を定義し、効果を見極める
つまり、業務コンサルは「ITを使う理由」を見つける人であり、ITコンサルは「そのITをどう実装するか」を考える人。補完関係にあるが、同一ではない。
業務コンサルタントとして専門性を築くステップ
ステップ1:業務フローの基本をおさえる
まずは「業務がどう流れているか」を見える形にできることが必須。BPMN(Business Process Model and Notation)などの図法を使い、現場の仕事を図解する力を身につける。
- As-Is(現状)の可視化
- To-Be(理想像)の設計
- ギャップの整理
この段階は「地図を描く」作業に近い。
ステップ2:課題を定量的に把握する力
「なんとなく不便」ではなく、「一件処理に平均5分かかっている」など、数値で語れる改善ポイントの発見が必要。
- 作業時間の分析
- 手戻り率、エラー率の把握
- 定量・定性の両面で問題を特定
ここでは、Excelや簡単なBIツールの操作経験が活きてくる。
ステップ3:改善手段としてのITを理解する
RPAやSFA、ローコードツールなど、現場に導入されやすいITツールの特徴と制約を知る。目的は「何を入れるか」ではなく、「なぜそれが必要か」を設計すること。
ステップ4:現場への定着支援まで見届ける
改善提案だけで終わらず、マニュアル作成、研修、1on1サポートなどの定着支援まで関与するのがBPRコンサルタントの本領。
ツールを導入しても、使われなければ意味がない。「現場に根づく改革」が最終成果物である。
まとめ
業務コンサルタント(BPR)は、現場の仕事の流れを見える化し、よりスムーズで正確な形に変えるプロフェッショナル。
DXコンサルタントが「変革の旗を振る」役割なら、BPRコンサルタントは「その旗を現場に立てる」実行部隊に近い。
ITも当然活用するが、あくまで目的は業務改革であり、ツールは手段にすぎない。専門性を築くには、業務フローの理解、数値分析、ITリテラシー、現場支援――複数の力を横断的に高めていくことが求められる。
最も重要なのは、“現場で本当に使われる改善”を設計できること。それが、業務コンサルタントにしかできない価値である。