「コンサルって何をしてる人?」と聞かれて答えに詰まる人は多い。プレゼン、パワポ、スーツ姿。それだけではつかめない実像がある。知恵を武器に企業の変化を導く職業――その中身を、見える言葉で解きほぐす。
Contents
コンサルタントの定義と種類
コンサルタントとは、企業や組織の課題を見つけ出し、解決策を提供する職業。知識と論理を使い、外から組織を動かす知的作業員ともいえる。以下の3つに分類されることが多い。
- 戦略コンサル:経営方針や新規事業などの構想を設計する
- 業務コンサル:現場の業務プロセスを分析し、効率化する
- ITコンサル:システム導入やIT活用を提案・実行する
たとえば、経営者が「売上を2倍にしたい」と相談すれば、コンサルは地図を描き、道を示し、進み方まで設計する。企業の“頭脳を外注する”行為といえる。
コンサルタントの仕事内容を具体的に解説
コンサルタントの仕事は、案件ごとに大きく異なる。ただし大まかな流れは共通している。
- 情報収集(業界調査、社内ヒアリング)
- 分析(数値解析、業務フロー観察)
- 仮説構築(課題の特定と解決案の提示)
- 提案資料の作成(スライドで説明)
- クライアントとの合意形成(プレゼンと議論)
例えるなら、壊れた機械を診断して、修理プランを立てる企業のお医者さんのような存在。風邪なのか骨折なのかを見極めて、薬なのか手術なのかを選ぶ。
プロジェクト単位で動くため、期間は数週間から1年を超えることもある。1人で1社を担当することはまれで、チームで作業を分担する。
コンサルタントが企業にもたらす価値
コンサルの価値は「外の視点」にある。内部の人では見えなくなっているボトルネックを発見し、改善に導く。他社事例の知見や論理的な思考力を武器に、組織を変革させる。
マッキンゼー創業者マービン・バウアーの言葉が象徴的。
“We don’t solve problems. We help our clients solve them.”
(問題を解くのではなく、解く手助けをする)
企業が一人で山を登るのではなく、横で地図を広げ、道順を一緒に考えるナビゲーターのような存在。それがコンサルタントの役割。
どんな会社がコンサルティングを行っているか
主なコンサルティングファームは以下のように分類される。
- MBB(マッキンゼー、BCG、ベイン):戦略系のトップ3
- Big4(デロイト、PwC、KPMG、EY):会計系出身でIT・業務支援が中心
- アクセンチュア:IT・デジタルの総合コンサル
- ブティック系:業界特化の小規模ファーム
MBBは経営者層とのやりとりが中心。Big4やアクセンチュアは現場の課題解決に強みを持つ。
コンサルタントの年収とキャリアパス
初任給は非常に高い。新卒でも年収1000万円に達するケースがある。
- アナリスト(1〜2年):調査と資料作成が中心
- コンサルタント(3〜5年):案件を主導しはじめる
- マネージャー(5〜8年):複数案件を統括
- パートナー:営業と経営が主務
MBAを取得するケースも多く、留学費用をファームが負担する制度もある。
LinkedIn創業者のリード・ホフマンはこう語る。
“コンサルは起業家の訓練所”
コンサル出身者がVC、スタートアップ、事業会社の幹部として活躍するのは珍しくない。論理、交渉、資料化、思考整理――すべてのビジネスに通じるスキルが鍛えられるからである。
コンサルタントの働き方とライフスタイル
プロジェクトの性質によって忙しさは変わるが、一般的には平日フル稼働。週50〜70時間働くこともある。休日勤務は基本的にないが、出張が多く、移動が負担になることもある。
- 月曜に飛行機でクライアント先へ
- 木曜夜に帰宅
- 金曜は在宅作業
出張の多さを「ラグジュアリーホテルに暮らす日々」と言えば聞こえはいいが、実態はスーツケース生活と孤独感との戦いでもある。
コンサルタントに向いている人の特徴
コンサルに向くのは以下のような人。
- 仮説思考が得意な人(“たぶんこうでは?”を軸に動ける)
- 多様な分野に興味がある人
- 高ストレス下でも論理を維持できる人
- チームで成果を出すのが得意な人
個人戦よりチームプレイを好む人に向く職業。パズルを解くような思考が好きなタイプに合う。
まとめ
コンサルタントは、企業の課題を見える形にし、行動可能な解決策を設計する専門職。スライドの裏には、膨大な調査、対話、推論が積み重なっている。
表面的には“プレゼン職”に見えても、その実態は知識と論理で企業の未来を動かすエンジンである。
プロジェクトのたびに異なる課題に向き合う日々は、ルーチンとは無縁。固定観念をくつがえす毎日のなかに、学びと成長の連鎖が続いている。コンサルタントとは、思考で勝負する職業である。